情熱しか持ち合わせていない人へ

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思えば、
東京で音楽を鳴らしてもう10年近くになる。

本当に色んな事を経験してきた。
バンドも組んだし、
トラックメイカーと組んで一緒に曲も作った事もある。

ヤクザみたいなグループに入り、
たくさんのお金を失った事もある。

初めて東京に出てきた時は、
ラップしかできなかった。
そもそもラップもそんなに上手ではなかったから、

ラップすらもグチャグチャだった。

曲も作れないし、唄もド下手。
楽器なんて当然出来ないし、
ミックスや、音楽の理論なんて全然わからなかった。

当時通ってた音楽の専門学校では

僕が一番音楽に疎く、
最低クラスの生徒だったと思う。

周りの奴らはみんな楽器を弾ける奴らだったり、
音楽について何かしらをかじってる奴らばっかりだった。

僕は高校を卒業するまで、
音楽なんか全然聞くだけしかしてなかったので、
音符すら良く解らずに、
音楽の専門学校に来た。

とても場違いだったと思う。

入ってからも全然音楽がわからなくて、
周りの奴らが曲を作ってる中、
僕は何も出来ずに、
戸惑ってることがたくさんあった。

学校を卒業してからも、
バンドをやってたけど、
その時も音楽をやってるというか
ただラップをしてるだけ!みたいな状況だった。

だけど、ある日いきなりバンドを辞める時が来た。

バンドを辞めたら、
僕は曲を作る事が出来なかったし、
楽器も出来なかったから、

音楽をやる事が出来なくなった。

だけど、その時から僕は、

じゃあ自分で曲を作らなくちゃと思った。

最初は全くうまくいかなかった。
一曲作るのに、半年かかった。

だけど、猛勉強した。
色んな音楽を聴き漁り、
トライアンドエラーを繰り返し、

少しずつ自分の音楽を構築していった。

曲を作ろうと思った時に、
楽器が弾けた方が作りやすい事に気付いた。
そこからピアノを触るようにした。

毎朝バイトに行く前に、

1時間ピアノを弾いて慣れる生活をした。

曲を作ろうと思った時に、ラップだけじゃなく、自分の曲にはメロディや唄も混ぜたものを作ろうと思った。

でも唄は本当にド下手だったから、
とても人前で聞かせる事なんか出来なかった。

その時人生で初めて、唄の練習をした。

唄は本当に大変だった。

20年以上唄を唄ったことの無い人間が唄を歌えるようなるには、
とにかく本当に大変だった。
毎日、バイトの帰りにカラオケに行き、毎日とにかく唄った。それでも全然上手くならなかった。

ネットに書いてある
唄がうまくなる方法なんて全くアテにならない!
コツなんか無い!
ただひたすら唄うしかないんだ!

そうやってたら気付いたら唄を唄える様になってきた。

今でも飛び切りうまいわけではないけど、それなりに上手くなったとは思ってる。

毎日、ピアノを弾きながら
ただひたすらに唄の練習をした。

結局一人で曲を作れるようになるまで、3年ほどかかったと思う。色々と勉強を繰り返して、自分の納得いく音が出せるようになるには、とにかく時間が必要だった。

ピアノで弾き語りができようになるまでは、4年程かかった。ピアノも、曲を作っていくうちにどんどん覚えていった。まだまだうまくなれるけど、人前で披露しても恥ずかしくないレベルにはなってきた。

唄は本当に時間が必要だった。

恐らく真面目に毎日練習して6年くらいかかり、
やっと自信をもって人前で歌えるようになってきた。

まだまだ向上の余地はあるけど、唄が僕のラップの足を引っ張り、ラップは良いのにね!
と言われない様に唄える様にはなってきた。
と思う。

パソコンで自分の声をミックスしたりする技術を身につけるのに、2年ほどかかった。

今思えば、
本当にこの10年くらいはどこを切っても音楽をやってきた。苦しい時期の方が多かったけど、音楽をずっと優先して、生きてきた。

幸福と言えば幸福だけど、
孤独と言えば孤独だし、
窮屈と言えば窮屈なのかも知れない。

だけど、ほとんどの人が、そこまで情熱を注げるモノに出会う事が出来ないと言う。

僕は、きっとそんなモノに出会ってしまったんだろう。
そして、そんなモノに飛び込んでしまったんだろう。

どんな恋よりも深く、どんな愛よりも清く、
堕ちてしまったのだろう。

夢中になるって事は、本当に辛い事だ。

だけど、辛いと思えるほど、
夢中になれるモノに出会える人生はきっと幸せなんだ。

これから、僕はこの自分の音楽をどうやってもっともっと世の中に広めていくのかを勉強していく。

そしてもっとたくさんの人に、僕の音楽や、歩んできた道が伝わって欲しいと思う。

何も出来なかった僕みたいな劣等生が闘いながら、
たくさんの事を学び、
進み続けた道をよりたくさんの人に伝えたい。

僕はきっと何も持っていなかった。

才能なんて当然無かったし、技術やアイディアだってそんなものは何も無かった。

だけどたった一つだけ
自分は良いものを持っていたのだと思ってる。

それは情熱だ。

その情熱だけは誰よりも良いモノを持っていたのだと思う。
僕はこれからもこの情熱を自分の音楽のために、捧げ続ける。

そしてあの日の僕みたいな、
何も持っていない連中の肩を叩いて、

「大丈夫、
情熱だけがあれば良いんだ。
それだけがあれば
どんな事だって乗り越えられる。」

って教えてやりたいんだ。

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